日本弁護士連合会の種苗法改正への賛成見解へ抗議する

2020年11月16日

日本の種子(たね)を守る会

 

日本弁護士連合会は、10月21日種苗法改正案への早期の成立を求める意見書を公表しました。この意見書について、日本の農と食に関して安全と安定を求める日本の種子(たね)を守る会としては、看過できないものとして抗議し撤回を要請します。

日弁連は、人権と社会正義を実現することを目的として設立されています。社会の様々な利害と対立を、法に基づいて調整されていく立場と理解しています。しかしいまだ法となっていない社会的利害対立をはらむ政府案を賛成し推進する立場として、その見解を表明されたことは、貴会の社会的役割を大きく逸脱し法案審議にも重大な影響を与えかねないものとして抗議します。

日本弁護士連合会全体での偏りのない充分な論議の上で検証され撤回されることを要請します。

 

日本の種子を守る会の貴会の意見書への反論について

第1

 種苗法の目的は、「競争力の強化」ではなく、「農林水産業の発展」である。そのために、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図ることとしている。

また、食料・農業・農村基本法では食料生産とともに、第三条に多面的機能を掲げ、農村の果たす国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承等が指摘されている。

国内農業・農村の役割を総合的に評価し保全発展されるものとしての整合性が求められている。

 

1983年のFAO総会では、「植物遺伝資源に関する国際申し合わせ」が決議され、タネが人類共有の財産であることを認めた。日本が2013年に加入したITPGR(食糧・農業植物遺伝子資源条約)も、「農民の権利」として自家採種・自家増殖の原則自由を認めている。2018年には、国連総会第3委員会で「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言が採択され、小農の「種子の権利」が謳われている。

 

第2

1、

⑴環境変化に対応する優良品種の成果物は、育成者(開発者)だけでは不可能。種子は同一DNAでも、土壌や環境で発現が変異する生命体である。開発者と生産者の協同によって成果物を得るものである。(同じ種苗でも作る人で成果物は異なること)

 

そして海外で人気があるのは、EU等への輸出でみても日本の伝統野菜やその品種であり、地方ブランド品である。そしてそれは分子生物学で人工操作されたものでなく、伝統的育種技術と栽培農家との協同生産物である。

 

⑵違法な海外持ち出しは、国内法では取り締まれない。

その国において登録管理が必要である。現行法でも種苗とその持ち出しと譲渡は禁止されている。山形のサクランボのオーストラリア持ち出しでは、現行法のもとで、山形県の水上進弁護士がオーストラリア人を告訴して和解で解決している。中国、韓国もUPOV条約締結国であり、登録は当該国で行う必要がある。

UPOV条約(植物の新品種の保護に関する国際条約)締結国との連携によってしか海外流出防止は不可能である。2017年の農水省のペーパーでも、海外流出を止めることは物理的には不可能なので、海外で品種登録するしかないと記載している。

 

⑶植物の知的財産の保護と農家の自家採種自家増殖の権利

EUでの自家採取増殖の小農家(日本では全部が該当)は認められている。穀物、イモ類、繊維作物など21品種は例外とされている。米国では植物品種保護法があって、登録品種であっても自由に自家増殖ができる。ただ別途特許があって、ゲノム編集や遺伝子組み換え種子のものについては原則禁止されている。日本でだけ育成者のみがその権利と利益を独占することは許されない。

 

⑷許諾料高騰と手続きの煩雑さは農家を圧迫する

その除外の「一般品種」の割合は減少し新規新開発は全部登録品種となっている。もうすでに登録品種は過半数を超えている実態がある。そして現在の一般品種在来種も類似の開発により登録すると自家増殖禁止になってしまう。

 

⑴、特性表について

知的財産特許を特性表(開発者が記入する栽培物の特性)による事で、実態としての栽培現物を比較しないことで育成者に優位に導いている。植物などは同一DNAでも、ある機能を破壊(ゲノム編集等)しても、栽培すると植物自身が修復する可能性もあり判別には慎重さが求められる。過去に開発企業が農民を訴えて訴訟になり、裁判官が現物対照で比較し農民が勝った記録がある。特性表での比較では、開発者に有利で栽培者に不利益をもたらす。

 

⑵、個人の持つ開発成果を、企業に所属することを当然としていることも問題である。国の農研機構、自治体の農業試験所の職員を企業が出向受入、ないし採用してその知見を利用して登録し、企業の知的財産とするように簡略化することを防げない。

また特許取る側に、ネットでの簡単な取得(海外からでも可能)にしてある。日本では農村地帯ではインターネットはまだ一般化されていない。現実的に農家には不利な制度となっている。

 

3、結語

国外市場での競争力は、むしろ地域の伝統農産物にある。EU、アジアでも人気があるのは、伝統的育種で知的財産品種ではない。育種(開発)も本来は、農家が自家採取で守ってきた技術の公的機関での継承である。これによる地域野菜などがある。これらを多国籍企業優位の「開発と特性表」で知的財産化されることで日本の伝統野菜や穀物が農家では栽培できなくなる可能性がある。

国内開発者の9割以上は公的機関(農研機構、地方自治体)であり、1割以下の小規模育成者はむしろ農家での活用を拡大したく面倒な許諾手続きなどはその阻害要因となる。世界貿易を席巻する多国籍農業化学独占企業への独占禁止法を農業現場でも検討すべき。

以上​

日本の種子(たね)を守る会

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