主要農作物種子法廃止への抗議と、日本の種子(たね)を守る運動宣言

日本の種子(たね)を守る会

2018年4月1日

1、戦後日本の種子を守ってきた「主要農作物種子法」がこの4月1日を持って廃止された。この法は敗戦後主権を回復することになったサンフランシスコ講和条約締結の翌年に、議員立法で成立した。国が地方自治体に優良種子の開発を義務付けたものである。戦争で国土が焦土となり食糧自給こそ国民を守るとの先達の思いが伝わってくる。ところが一昨年10月の安倍政権「規制改革推進会議」の提言を受けて昨年4月国会でスピード可決された。「民間企業の種子開発参入のため」と廃止法案の趣旨にある。そして昨年11月、農水省奥原事務次官により種子開発の運用基準撤廃通達などが矢継ぎ早に出され種子開発体制が突き崩されている。

 

2、この主要農作物種子法が果たした役割は大きい。特に各都道府県農業試験場などで開発されたお米のブランドをあげたい。こうした種子は試験場と共に各地の指定圃場で栽培されている。地元の農家や農協が指定された圃場で栽培することから、地域にあった病害虫に強く栽培しやすい種子が選定されてきたのである。小麦も国産うどんやパンにむいた品種が開発され、大豆も豆腐や納豆に最適な種子が開発されるなど主要な穀物生産に果たしてきた役割は大きい。この種子開発体制の根拠法と予算措置の基本的枠組みが撤廃された。

また国には、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究所がある。そこでは南西諸島のサトウキビの開発など日本の優良種子を開発し育ててきた実績がある。これまでは地域農民のための種子開発を担ってきた。ところが巨大企業のためのハイブリッド種子や遺伝子組み換え種子の開発に力を注ごうとしている。これは農民の種子採取の道を塞ぎ種子の権利を奪うことにもなりかねない。種子の開発や供給が本来の日本の地域の農民のためにあるべきことを再確認したい。

 

3、今世界で流通する種子のほとんどが巨大多国籍企業の手によるものである。その結果、例えばインドのワタ(綿花)の問題である。2000年代初頭にモンサント社の遺伝子組み換えBtワタが入り9割を占めるようになった。その栽培は種子管理から販売まで契約で縛られ、かつ毎年購入し続けなければならなくなった。そして市場の圧倒的占有の結果、値段が高騰し農民の破産と自殺者が増えているという事実がある。日本でもすでに野菜はそのほとんどが外国で作られたタネによっている。農業は、農地、水、種子が不可欠である。その種子が少数の企業に占有され、知的財産として農民が勝手に栽培することが許されない時代になろうとしている。

 

4、国連の警告に耳を傾けるべきである。昨年提案された「小農と農村で働く人々の権利に関する国連宣言」によると「土地、水、種子、その他の自然資源へのアクセスが、農村の人々にとってますます困難になっていることを認識し、生産資源へのアクセスの改善と適切な農村開発への投資の重要性を強調」している。これに異議を唱える現政権は「農業の競争力」と言いながら実は「多国籍企業」を優先し、日本の村を守っている地域の農業協同組合を攻撃して農地も水も種子も売り渡そうと法制度を改変していると指摘せざるを得ない。しかも巨大多国籍の種子会社はそのほとんどが化学企業であり農薬企業である。種子とセットで農業の支配が進む。

 

5、私たちは農業に関わる全ての人々に呼びかける。主要農作物種子法廃止の影響は甚大である。ただちに(独)農研機構など国の機関と各都道府県の農業試験場を維持発展させるための法的措置と予算措置を整えるべきである。また自治体の行政的措置と条例などの整備を強化すべきである。その上で国会議員の皆様と協力してこの国の種子生産体制を、公共の役割と協同の力と農家民間と力を合わせて日本の農業農村を守るべきである。多国籍企業の種子独占から防衛すべきである。世界の多国籍企業、とりわけ化学企業はハイブリッド種子の開発と遺伝子組み換え種子の浸透をはかり、各国政府にその優遇措置を迫っている。自由貿易協定という名の下に。実は「自由」なのは強大な多国籍企業にとってであることは明確である。

 

6、日本の種子(たね)を守る運動は、世界の自然資源と農民の権利と食料の安全保障を守る力である。消費者にとっては食料主権確立への第1歩である。

もはや農薬化学肥料の多投による農業は限界にきている。土壌の劣化と生産物の脆弱化が顕著になってきている。近年の天候不順と異常気象の波の中で、自然資源保護と農地の地力の回復と有機農業への挑戦を公共的にも協同組合も行うときがきている。多様な農業への豊かな挑戦こそこの国における農業の未来である。有機農業家も農協も地方自治体も共に多様な協同を持って心豊かな農村農業の未来を築いていきたい。それは日本の農地と水と種子を守り育てることから始まる。農業こそ未来産業である。共に日本の種子(たね)を守る運動を担っていきましょう。

 

以上

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