種苗法改正についての意見書

―農家の自家増殖の権利を保証し、海外流出の真の原因を把握対策すべき―

(2020年11月3日)

 日本の種子(たね)を守る会

 

1. 種苗法の目的は農林水産業の発展に寄与することである。日本の農家の自家採種、自家増殖の権利を侵害する事があってはならない。 種苗法は「品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与する」とされている。

 

2. 農水省は農業現場の実態を把握し、少なくとも自家増殖農家の意見を反映して慎重審議を行うべき

サトウキビ、サツマイモ類、イチゴ等やお米の自家増殖は広く行われている。種苗の販売も自家増殖を前提 とした数しか売られていない。登録品種の許諾制は現在もあるが、実態は登録品種と一般品種の違いを把握している農家は極めて少ない。

 

3. 海外流出の問題は、その関係国での登録と防止策の徹底が解決策である

違法な海外流出はUPOV 条約未加盟国と締結国における登録と栽培防止策の徹底がなされていないためである。 関係国との連携強化が求められている。違法な外国での栽培は当該国での禁止でなければ取り締まれな い。逆に登録品種の民間育成者が海外で登録した場合は国産品種も海外栽培輸入可能になる。国内では取り締まれない。

 

4. 農家に高額な負担と煩雑な管理を強いて農家への圧迫となる

農業競争力支援法の第八条第四項の「独立行政法人の試験研究機関及び都道府県が有する種苗の生産に 関する知見の民間事業者への提供を促進すること」によって、種苗の知見が民間企業に流出し農家負担の懸念がある。自治体や農業団体が事務代行しても、許諾料の高騰と管理作業が煩雑化し圃場や種苗管理等、農家の負担増は免れない。

 

5. 日本の農林水産業の発展とは逆行する施策となっている

 世界貿易における種苗のシェアを握っているのは大手多国籍企業3 社で 80%近い。アメリカでは、穀類(麦、大豆、じゃがいも、米等)は、自家増殖は例外として認められており、EUでも小農(年間の収穫が穀類92トン、ジャガイモ185トン以下)は自家増殖が例外規定で認められている。

 これに対して日本の農業経営は収入 100万円以下が約60%を占め、2千万円以上は4.3%に過ぎない。この日本だけが自家増殖一律禁止、許諾性適用としている。 しかし農業農村を支えているのはむしろ小規模農家である。こうした農家が全国の村の耕作地を維持しコミュニティの支えとなっている。この農家らが崩壊したら農村地帯は廃村になる。

 

6. 安全で顔の見える美味しい農産物を生産する日本農業のあり方

 多国籍化学企業による農産物は、遺伝子組み換えやゲノム編集といった分子生物学技術を使った人工的生産物である。これまでの国の農研機構と各自治体で研究開発されてきた品種改良は、作物自身の自然能力を活用した伝 統的育種技術であり、自然生態系とマッチした貴重な農業生産技術といえる。これにより各地の地域ブラ ンド農産物が育成されてきた。そして農家の自家採種、自家増殖技術とともにあった。これが EU はじめ世界で高い評価を受けている。DNA 操作食品が評価されているわけではない。これを表示しないのも消費 者に忌避されるためである。

 

 7. 農家の自家採種、自家増殖の優れた役割と権利を保障すべきである 農家のこれまでの自家採種、自家増殖は自治体の種苗開発研究と共に優れた農産物生産の基盤となって きた。このことを高く評価し、これを保護し保証することを明確化すべきである。 また伝統野菜等生産者の権利を守り、巨大農業複合企業による農業食料産業の浸食に歯止めをかけるべきである。日本の食の安全と農業が危機にさらされている。 日本農業の小規模多品種伝統野菜等を支援し、安全で良質の地域農産物の国際的な評価をさらに強化発展すべきである。

​以上

日本の種子(たね)を守る会

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